2018-10-04

【ノンフィクション小説】えりの場合(4/4)

えりとゴハンの約束をして1週間後、今日は彼女との店外デートの日だ。

いよいよ「ファイナルフェーズ」である。

 

19時に待ち合わせをして、鉄板焼きの店に移動した。

基本的に食事をする店は、どこでもよい。

強いてNGな店を挙げるとすれば、あまりにも小汚い居酒屋、2人の会話が聞こえづらいほどの騒がしい店だろうか。

事前に個室を予約しようとしたが、カウンター席しか空いていないとのことだったので、2人で並んでカウンターに座ることになった。

 

えりと店の外で会うのは今日が初めてだった。

飲み屋での華やかな衣装とは違い、今日のえりはいい意味で普通のかわいい女の子であった。

 

席に着き、私がその店のおすすめメニューらしきものをサクッと注文した。

そして、乾杯。

私は生ビール、彼女は梅酒ソーダだっただろうか。

乾杯の瞬間、私はいつものように「さあ、この場を楽しもう!」というスイッチを入れた。

 

そこから何を話したか定かな記憶はないが、会話を続けていくうちに、お互いの肩と肩が触れ合う瞬間があった。

私はあえて、体が触れ合ったままにしておいた。

特にえりもそのままだった。

「あ、いけるな。」

そう思った記憶だけは残っている。

カウンター席はお互いの距離が近い分、親密になりやすい。

ただ、ついつい過度のボディタッチを行ってしまいがちなので、そこは控えたほうがよいだろう。

 

お互い会話に夢中になり、いつの間にか3時間ほどが過ぎていたと思う。

実は私は会計をしながら、迷っていた。

私の経験上、店外デートに応じてくれた時点で女性の3割程度は、積極的ではないにしても、男女の関係になることを多少は意識している。

よって、今日クロージングを掛けても、それなりにOKはもらえるはずだ。

しかしながら、1回目までは紳士を貫き、2回目以降の店外デートでクロージングを掛けるほうが、格段に確率が増すことも知っている。

 

もともと今日クロージングを掛けるつもりはなかったが、食事中の雰囲気があまりにもよかったので、店を出て、私はえりに思わずこう言った。

「これからどうする?ホテルでもう少し飲もうか?」

「え~っ」

えりは笑顔で驚いた。

そして私はこう続けた。

「大丈夫、大丈夫、えりには多分指一本触れないから。」

「多分? 笑。」

 

えりは肯定もしなかったが、否定もしない。

この場合は肯定と取ってよいだろう。

 

「行こう。」

私はえりに歩き始めることを促すように、腰に手を回した。

その瞬間、えりは私に少し身をあずけ、モードに入った。

まさに今、えりを口説き落とした瞬間である。

 

 

もう2人に余計な言葉はいらない。

あとは彼女を優しくホテルへとエスコートするのみだ。

 

ノンフィクション小説 えりの場合 全4回

   

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